VS猫
猫と一緒に寝たい。
うちの飼い猫は、夜になると人の布団に入る。
しかし、私の布団には入らない。
朝、家族からの「猫が重くて~」「寝返り打つと噛んできて~」「布団から出ていくときにおなか踏んでいくから~」なんて自虐自慢が毎日飛んできて、正直うらやましい。
こんな朝を7年も送っているが、一向に私はそんな目に合わない。
いや、一度だけ、家族が全員外泊だった時だけ(別に置いてけぼり食らったとかではない)、ほかに居ないから仕方なくかもしれないが、一緒の布団で寝てくれた。
股間に感じたぬくもりと重みは、今も暖かな思い出である。だがしかしあの一度だけである。
もともと、僕が猫を好きになった時、君たちは「ふーん、猫なんてどこがいいの?」なんて白い目で(むしろドン引きして)僕を見ていたじゃないか。
なのにいざ猫を飼いはじめたら、なんだね君たち。僕よりメロメロじゃないか。
そんなこんなで、僕はある決心をする。
そうだ、連れ込めばいいんだ。
思い立ったが吉日である。
中ボス(姉)の布団ですでに丸くなっていた猫様を引き出し、寝ぼけている間に私の部屋へ連れ込み、そのまま一緒に布団をかぶる。
おそらく5分もかからなかっただろう。
布団は事前に温めておいた。さぁ、猫よ。目を閉じて寝息を立てるがよい。
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あれ、布団から出ちゃった。
部屋をうろうろしている。
え?扉の前で止まった?
あ、こっちみた。目は閉じておこう。
・・・
よーしよしよし、足音がこっち来た。
布団の端まできt痛ってぇ ノ ド ぼ と け!!!!
ho <部屋から出せ、さもなくば、わかるな?
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かくして、誘拐事件は猫質による自力解決をもって、わずか10分足らずで幕を閉じたのであった・・・。
●俺 VS 猫〇